日本透析医学会統計調査結果の有効利用の試み(2002年)

目的

毎年実施される日本透析医学会統計調査(以下統計調査)の回収率は、世界に類を見ない極めて高いものと評価できる。今回当院における慢性透析療法の現況を把握すべく、20万人を越す透析患者の統計調査結果との比較を行った。

方法及び対象

対象は、当院透析患者91名(男性63名・女性28名)で、期間は2001年10月〜12月の定期検査計6回分(n=542)とした。検討項目はわが国の慢性透析療法の現況を基に、当院透析患者の諸データを解析し、kT/V for Urea、nPCR、%クレアチニン産生速度、HD前リン濃度について検討した。なお解析には統計調査で解析に使用されたものと同じ計算式を用いた。

結果及び考察
  1. kT/V:全国13.3±0.31(平均±標準偏差)当院13.3±0.22で平均値は同様であったが、全国統計の分布に比してピーク側に収束するばらつきの少ない分布となった。
  2. nPCR:全国0.98±0.18g/kg/day当院0.94±0.16g/kg/dayで全国統計分布とほぼ同様の結果が得られた。
  3. %Cr産生速度:全国108.5±23.53%当院111.8±20.12%で全国統計に比し高い結果が得られた。
    %クレアチニン産生速度は高いほど死亡リスクが低いとされており、当院の結果は良好であることが示唆された。背景には、比較的筋肉量の多い男性の割合が多いことや、平均年齢が低いこと、ADL低下症例が少ないこと、入院施設を持たないことなどが考えられた。
  4. 透析前血清リン濃度:全国5.58±1.57mg/dl当院6.07±1.25mg/dlで当院の分布は全国分布に比し高目の分布となった。今後、食事指導及び服薬指導を再検討する必要性が示唆された。
提言

世界に類をみない膨大なデータをもとに実施される透析調査は、99.6%という回収率を誇る。今回の施設単位での比較検討は、治療現場において非常に有意義であると考える。よって、自施設のデータは透析調査報告とともに還元されること、また今後更なるデータ開示を期待する。

ページトップへ